約 92,260 件
https://w.atwiki.jp/rasenn/pages/33.html
あの! 国語70点台常連の螺旋が!!! SS書きまーす 見てね ゲー部屋の長い夏休み「火炎編」 ゲー部屋の長い夏休み「三浦編」 SSの登場人物共
https://w.atwiki.jp/bokurobo/pages/482.html
桜華絢爛ベルフェリオン・SS 連続SS 第一話「出逢いという奇跡」 第二話「デバイス・オン! 立てよ名も無きベルフェリオン!」 第三話「騒動、その後で」 第四話「鍛える冬」 第五話「遭遇! ジャンヌダルク!」 第六話「踏み出す一歩 炸裂!爆牙天襲脚」 第七話「突撃! となりの町工場」 第八話「錯綜のエキシビジョン」 第九話「銃声、残響の果て」 第十話「最強の証明 逆転合体・エールフランベルジュ」 第十一話「ベルフェリオンVSベルフェリオン! 裂光の捕食者クライガイスト」 第十二話「絶望の果てに」 DBへ SS保管庫へ戻る
https://w.atwiki.jp/dangerousss3/pages/167.html
裏第一回戦【遊園地】SSその3 ◆大会ルールについて◆ 試合の勝利条件は 対戦相手の戦闘不能(審判判断) 対戦相手の殺害 対戦相手のギブアップ 対戦相手の戦闘領域からの離脱(試合場による) のいずれかを満たすことです。 ただし、以下の禁則事項を破っていたことが判明した場合、 その時点で反則敗けとなります。 (試合後に判明した場合でも直前の試合まで巻き戻して裁定) 試合開始時刻になっても試合場に入場しない(遅刻) 勝敗確定後の戦闘行為 参加者含む大会関係者との金品のやり取り (試合中のアイテム奪取や試合後敗者からアイテムを引き継ぐのは可) 大会運営者への虚偽申請 試合中、対戦相手以外の観客等に危害を加える行為 その他大会運営者が著しい悪徳行為と判断した場合 ※ダンゲロスSS3wikiより抜粋 ◆試合2日前◆ 目高機関御用達のとある病院にて。 「――駒音様の『裏トーナメント』第1回戦の対戦相手は雨竜院 雨弓様と高島平 四葉様です。試合場は遊園地で開始は明後日の午前5時開始となります。」 「おお、そりゃぁ随分と早いねぇ~。まぁ四葉ちゃんはソチラさんとしてはあんまり目立たせたくないよねぇ~」 「その様な他意はございません。表トーナメントとの兼ね合いでご迷惑をおかけいたしますがご了承くださいませ」 白い病室のベッドに伏せる銀髪の少女、偽名探偵こまねに裏トーナメント第1回戦の詳細を伝える黒服の銘刈 耀。 じ、と駒音を見やる。彼女は『精神汚染』を受けこの病院に担ぎこまれたはずだ。 しかし、少なくとも見る限りでは彼女の精神はまるで何事もなかったかのように落ち着いているようだ。 「ん~?そんなに見つめられると照れちゃうな~。あたしが裏に出ることが意外ぃ~?まどろっこしい喋り方を続けてるのが謎ぉ~?それともあたしがファントムルージュから復活できたことが不思議なのかなぁ~?」 「ふふ、全部、と言っておきましょう。では私はこれで」 「あ、ちょっと待ってぇ~。ルールについて一応確認させてもらってもいいかなぁ~」 「えぇ、構いませんよ」 ‥‥‥ ‥‥ ‥ ◆試合前日◆ 参加選手宿泊施設にて。 ジリリリリリリリリリリリリリリリ 『午前8時になりました 午前8時になりました』 リンリンリンリンリンリン Ding Dong Ding Dong Ding Dong 目覚まし時計の大合唱の中のそのそと起き上がるのは邪悪な幼女、高島平四葉である。 世界征服を企むような彼女にも朝が弱いという可愛らしい一面もあるのだ。 全ての目覚まし時計を黙らせた後も彼女が不機嫌な顔を浮かべているのは朝の憂鬱だけが原因ではない。 ――負けた。自分の駒になるべき人間に負けた。自分は自分が思っていた以上に未熟だった。 ――だからと言って、このままでは終われない。 顔でも洗おうと、自分の個室を出る。すると、 「四葉ちゃん、おっはぁ~」 「よお、邪悪幼女」 偽名探偵こまねと雨竜院雨弓がいた。 「‥‥何の用事かしら」 「ほらぁ、これも何かの縁だし負け猫同士交流を深めようと思ってさぁ~」 「明日踏みつぶす予定の相手と仲良くする義理なんてないわ」 「おいおい、俺も交流会だなんて聞いてないぞ。流石にこっぱずかしいんだが」 「まぁまぁ~、WL社とファントムルージュに関わる話でもする、って言ったら、2人とも無視できないでしょぉ~?」 四葉と雨弓の表情がピクリ、と動く。 「あ、試合場の遊園地が試運転もしてるらしいからぁ~お話は遊園地で遊びながらにしよぉ~!徒歩で行ける距離みたいだしねぇ。1時間後に出発するからねぇ~」 雨竜院雨弓は考える。 ――あの偽原ってやつがファントムルージュ使いかもしれねぇって話もあったしな。つってもどうせ『裏』があるんだろうが、面白れぇ、それも踏まえて『戦闘』だ。乗ってみるか。 「ま、折角だしな。にしても遊園地なんて何年振りかねぇ」 高島平四葉は考える ――WL社の情報は確かに欲しいところ。それにしてもファントムルージュって何かしら。まぁいいわ、この2人に対して私が戦闘で負ける要素なんてないんだから、絞れるだけ情報を頂くとしましょう。 「し、仕方ないわね、行ってあげるわよ」 こうして裏トナメ遊園地組★ワクワク大交流会が開催されるに至ったのだ!! ◇ジェットコースター 「ま、遊園地っつったらまずあれだよな」 「え」 「おぉ~ナカナカの高低差ですなぁ~」 「わ、私は身長足りないから」 「無人運転みたいだし、誰も文句なんて言わないよぉ~」 「怖えーのか?はっ、意外に幼女らしいところあるんじゃねぇか」 「な、な、そんな訳ないじゃない!乗るわよ、乗って見せるわよ」 「ひゅー、久しぶりに乗ると楽しいもんだなおい」 「いやぁああああ、飛ぶ!、吹っ飛ぶ!!」 「し、しっかり掴まってれば大丈夫だよぉ~。ね、落ち着いとくれよぉ~」 「ん、しばらく使われてなかったからかあっちのレール老朽化してんな。人乗って耐えられんのか?」 「降ろしてえええええ!」 「だ、大丈夫だよぉ~。 多分」 「いやぁぁぁあああああ!」 (※そちらの趣味の人はこの時に四葉ちゃんがお漏らししたとしても良い) ◇幽霊屋敷 「‥‥次、あれ行きましょう」 「幽霊屋敷ぃ、そんな子供騙し面白れぇのかよ」 「う、うんそうだよねぇ~。や、やめようよぉ~」 「目が泳いでるわよ、偽名探偵」 「に、苦手なんだよ幽霊(ファントム)とかそういうのはぁ~」 「人にコースター無理強いしておいて自分は逃げるとかいうのかしら」 「そんな無理強いしたっけぇ~!?」 「…よし、行くか!」 「いやぁ~だぁ~」 「ひぃ~」 「ぷっ、こんな子供だましのが怖いなんてかっこ悪いわね偽名探偵」 「ぎゃぁ~~~、幽霊(ファントム)がいっぱいだぁ~」 「そんなの偽物に決まって、ってきゃーーーー!!私のことすり抜けた!物理的にありえないわよあの動き、本物よ、本物!」 「はっはっは、すまん、生ぬるすぎたから俺が能力使っちゃったっておい、その物騒なもん出すな!幼女が使うもんじゃねーから!」 「ファイヤー!」 「やめろッ!」 「幽霊(ファントム)コワイよぉ~」 (※そちらの趣味の人はこの時に駒音がお漏らししたとしても良い) ◇メリーゴーランド 「‥‥‥え、俺もこれ乗らなきゃいけねーの?」 「断る気ぃ~~?」 「拒否権なんてないわよ」 「し、死にてぇ」 「あはは、雨竜院さんかわいぃ~」 「結構お似合いじゃない」 「死にてぇ」 「四葉ちゃんもかわいいよぉ~」 「なっ!?」 「死にてぇ」 (※そちらの趣味の人はこの時に雨竜院がお漏らししたとしても良い) ◇ランチ 「大分お昼も過ぎちゃったしランチにしようかぁ~。流石に売店とかはやってないと思ってサンドイッチつくってきたんだぁ~」 「あら、気が利くじゃない」 「まぁ正直そんな大したもんじゃないんだけどどうぞぉ~」 「おー、こりゃうめー」 「んー、マスタードがよく効いてるわね」 ピン↑ポン↑パン↑ポン↑ッ♪ 『あー、マイクテス、マイクテス。明日試合の実況をさせていただく佐倉光素です。よろしくね! みなさん楽しそうですねー、私も運営側でなければ混ざって遊びたいところです! ではみなさんの明日の検討をお祈りいたします!』 ピン↓ポン↓パン↓ポン↓ッ♪ 「‥‥って完全に遊び呆けてたけど私はWL社とファントムルージュとやらの話を聞きに来たんだった!」 「あぁ~、正直そんなに大した話じゃないんだけどねぇ~」 「おいおい、とにかく話せよ(モグモグ」 「そうだねぇ~。あたしの1回戦の敵が偽原っていう元魔人公安の人だったんだけど、その人の能力が『ファントムルージュを体感させる』能力だったんだよねぇ~」 「へぇ、なるほどな」 「えーっと、本当は知ってるけどそのファントムルージュって何だったかしら」 「昔作られた、見た人の精神を舐り嬲りぶち壊す史上最悪の映画だよぉ~。あらすじは『うんぬんかんぬん』」 「粗筋を聞くだけで気分悪くなってきたわ‥‥」 「しかし、そんなもんまともに体感して、1回戦じゃあの様になってたのによく持ち直したな」 「うん、そこにWL社が絡んでくるんだよねぇ~。どうもWL社は『ファントムルージュの特効薬』を作っていたみたいなんだ。 それでねぇ、私の推理だと偽原さんの大会に出場した動機は『能力で全世界の人にファントムルージュを体感させる』なんだよねぇ」 「…なるほど、WL社はパンデミックで大きな財を成した。もしかするとその2匹目のどじょうを釣ろうとしている可能性があるわけね」 「さすが四葉ちゃん。そういうことぉ~。もちろん全くの仮説にすぎないけど、もし本当だとしたら世界征服をもくろむ四葉ちゃんも、ファントムルージュに借りがある魔人公安の雨竜院さんも、無視できない話でしょ~?」 「そうね」 「あぁ、当たり前だ(モグモグ」 「もちろん私だって偽原さんにはお~きな借りがあるし、絶対に見逃せない。だからさぁ~、同盟を組みたいんだ。試合は試合でやる。だけど誰が勝とうと負けようと、このファントムルージュの件を解決するために。名付けて遊園地同盟だよぉ~」 「へっ、ファントムルージュには借りを返さなきゃなんねぇからな。OK、同盟を組もう。ただし明日勝つのは俺だ」 「いいわよ、その代り2人とも私の下に付きなさい」 「えぇ~、あたしは生涯この人だけに着いてくって人がいるからなぁ~。まぁ~、明日勝った人がリーダーってことでいいんじゃない」 「ま、いいわ。あんたら2人が私に勝てるわけないし」 「そんな傲慢だから1回戦無様に負けんだよ」 「あんたに言われたくないわよっ!」 「まぁまぁ~、遊園地同盟ここに結成ってことでぇ~。じゃぁ今日はもうちょっと貸切遊園地を楽しんじゃお~」 「いいだろう、腹も膨れたしな」 「ふんっ、明日早いんだからほどほどで帰るわよ」 「なんだかんだで四葉ちゃんも結構ノリノリだよねぇ~」 「なっ!」 こうしてこの日、遊園地同盟が結成し、彼女たちは結局日付が変わるぐらいまで遊び続けたのであった。 ‥‥‥ ‥‥ ‥ ◆試合当日◆ ――高島平四葉は世界征服の夢を見る。 「しぃぃあああああ!!」 雨竜院が幻影を織り交ぜた傘術を繰り出す。 単体でも並みの魔人では避けえぬ傘術が見えぬのだ、必殺の威力を持つ『雨月』! しかしそれを駒音は何とか躱していく。 その秘密は彼女の能力の『音玉』の運用にあった。 今彼女は雨竜院の動作によって起こる音すべてをシャボン玉になるようにしているのだ。 例えば傘を動かせば空気と擦れわずかにではあるが必ず音が発生する。 それらをすべて小さなシャボン玉とかえ、その位置を認識すればどんなに光学的な幻影を繰り出そうと、実際の行動は駒音に筒抜けなのである。 実際彼女は目をつぶって戦っていた。 音のプロフェッショナルである駒音は雨竜院の能力『睫毛の虹』の天敵ともいえる。 ダァン、ダン、ダァン 続けて響く銃声。駒音は隠し持っていた銃をぶっ放す。 それも、自分の声真似による偽物の『銃声』を織り交ぜながら!しかし、 「雨流」 傘を開き回転させる。そんな簡単な動作で雨竜院は駒音の攻撃を完全に防いでいた。 警視庁「兵課」でも屈指の実力者である雨竜院に、ちょっと毛の生えた程度の銃撃など効かぬ! 「それなりには楽しませてくれるみたいじゃねぇか」 「参ったねぇ~、相性はいいと思ったんだけど、それでも勝つのはしんどそうだなぁ~」 「 茶 番 」 わずか11歳の少女は、口の端を吊り上げて嗤った。 2人の戦闘風景は、当然のように……最初から最後まで、余すところなく捉えている。 彼女は今、対魔人LCV――指揮装甲車の車中にいるのだから。 まぁ、表トナメで使った以上、裏トナメでも使うよねっていう。 《んー。雨竜院雨弓。偽名探偵こまね。君たち2人に告ぐ》 《わたしは、ご存じ高島平四葉――》 《今すぐ降伏しなさい》 《ちょっと期待したけど、あんたたち2人に現代兵器をどうにかする方法なんてないでしょう?》 《茶番はとっとと終わらせてとっとと私の駒になりなさい》 雨竜院雨弓と偽名探偵こまねは目を見合わせて、 「「断る」」 2人は同時に返答した。 「ふぅー、じゃぁ1回死になさ‥ん?」 四葉が指揮装甲車の中でありえない光景を捕えた。 雨弓と駒音の2人の肉体が触手となっていく! 「え」 そして2つの触手が合体する! 「え」 「能力作動。『睫毛の虹+音玉/緋色の幻影(ファントムルージュ 3D)』。……上映(うんめい)、開始」 「え」 大気中の水分を利用して光の反射や屈折を操り、幻影を見せる『睫毛の虹』を持つ雨竜院雨弓 音をシャボン玉にして保存・運搬ができる『音玉』を持ち、自らの声真似能力であらゆる音が再現できる偽名探偵こまねが組み合わさったなら。 そして、今回再現するのは劣化などではない。偽原によって見せられた原典のファントムルージュ! ――それは、もっとも残酷な世界 ファントムルージュは今ここに受肉を果たした。 「ちょ、ま、え?」 そして、この冗談か悪夢のような展開に四葉が思わず自身の能力を使ってしまったことを誰が責められよう。 事態の打開を求めてとっさに起動した『モア』は 『真・緋色の幻影(ファントムスカーレット)』 ファントムルージュすら超える存在を生み出した。 そのあとの展開は早かった。簡単な話だ、ファントムスカーレットが世界すべてを絶望に塗り替えたのだ。 世界はモヒカンと触手に溢れ、ファントムスカーレットを生み出した四葉は『偉大なる母』としてこの退廃した世界に君臨することになる‥‥。 そう彼女は望み通り世界を征服したのだ。 「ち、違う、私が求めていたのはこんなものじゃ――」 そう独白したところで、四葉は目を覚ました。 「はぁ、はぁ、はぁ、なんだ夢オチ‥‥」 ひどく汗をかいていた。 何とひどい夢だろう。 しかし。 自分はまだ夢の中にいるのだろうか? ここは自分が泊まっている選手部屋のはずだ。 しかしいつもとその様は全く異なっている。 ――大量のシャボン玉が浮かんでいた。そしてシャボン玉が生まれている。 その発生源は、大量の目覚まし時計からのようだ。 四葉はそこで真相に気付き、悪夢で火照っていた顔を青ざめさせた。 時計はとうに午前5時を過ぎた時間を指していた。試合開始は午前5時。 高島平 四葉、遅刻のため敗北。 少し時はさかのぼり、 夢ではない現実の遊園地にて。 遊園地はすでに多くのシャボン玉がプカプカと浮いていた。 偽名探偵こまねの『前準備』である。 ピン↑ポン↑パン↑ポン↑ッ♪ 『実況の佐倉光素です。ただいまより裏トーナメント第1回戦、遊園地の戦いを始めさせていただきます! なお参加選手の高島原 四葉さんは遅刻のためこの時点で敗北となります。慈悲はありません!』 ピン↓ポン↓パン↓ポン↓ッ♪ 「四葉が遅刻か。駒音の野郎、何かやりやがったな」 そうひとりごちる雨弓の眼は爛々と輝いていた。 彼は戦闘狂と言っても肉体同士の攻撃だけが好きだというわけではない。 知略戦、騙しあい、小細工、そういうものも含めて戦闘だと考えていた。 (そしてそういう小細工を力でぶち破るのも大好きである) 自分の胸から鼓動に合わせてシャボン玉が発生しているのを見て、おそらく自分の位置は把握されているのだろうと考える。 ならば無理に身を隠しても仕方がない。狙撃に注意しながら駒音を見つけ出せばよい、と考え遊園地を闊歩し始める。 10分ほど索敵を続けると意外にも堂々と駒音が身を現した。 「四葉が遅刻したのは駒音、お前のせいか?」 「ぴんぽ~ん。『遊園地でめいっぱい遊んだ幼女が次の日目覚ましなしで早起きなんかできるわけないよね』作戦だ~い成功~。 現代兵器なんて勝ちようがないからねぇ~。いやぁ~能力範囲広くてよかったねぇ~。 ま、ホントは雨弓にぃも寝坊してくれればよかったんだけどね~」 「バカ言え、こう見えても公務員なんだ、時間にはうるせーぞ」 そう軽口を言いあう間にも雨弓は傘を構え、駒音はシャボン玉を自分の周囲に集めていた。 「じゃ、始めっとすっか。‥‥『雨月』」 雨竜院が幻影を織り交ぜた傘術を繰り出す。 単体でも並みの魔人では避けえぬ傘術が見えぬのだ、必殺の威力を持つ『雨月』! そして、実際この試合はこの一撃で終了する。 雨弓が繰り出した傘は駒音の頬を掠め、 ピン↑ポン↑パン↑ポン↑ッ♪ 『実況の佐倉光素です。えー、勝敗確定後の戦闘行為を認めましたので、雨竜院雨弓さんは反則負けとなります。 ので繰り上げで偽名探偵こまねさんの勝利、ということになりますねー。で、いいんだよねきららちゃん?』 『うん、それでいいはずだよー』 ピン↓ポン↓パン↓ポン↓ッ♪ 「‥‥は?」 「というわけで私の勝ち抜けだねぇ~」 「どういうことだ、負けが確定してたのは四葉だけだろ?」 「えへへぇ、実は戦闘開始のアナウンスの直後、私自ら園の外に出て負けてたんですねぇ~ そしてわざと攻撃してもらうために姿を現したのでしたぁ~」 「いやいや、そんなアナウンスなかっ‥‥、そういうことか‥‥」 駒音はニヤリと笑うと、シャボン玉の一つを破裂させた。 ピン↑ポン↑パン↑ポン↑ッ♪ 『実況の佐倉光素です。おおーっと、なんということでしょう。偽名探偵こまね選手、自ら園外に出てしまいました。どういうつもりでしょうか。裏トーナメント第1回戦、遊園地の戦いはあっさり雨竜院雨弓選手の不戦勝で決着がついてしまいました~』 ピン↓ポン↓パン↓ポン↓ッ♪ 「ったく、アナウンスを消音するとはな。 いやらしいトリック使いやがって。お前、探偵より犯人の方が向いてるんじゃねーか」 偽名探偵こまねはわざとらしく口笛を吹いた。 高島平四葉 ⇒自分はまだ世界征服を始めるのにはちょっとだけ早すぎたと認識し、とりあえず自分が世界を獲るまで世界を守る決意をする。主にファントムルージュあたりから。 雨竜院雨弓 ⇒小娘にしてやられたことにわりと凹みつつも、ファントムルージュとの決着を目指す。 偽名探偵こまね ⇒今回はあんまりひどい目に合うこともなく、遊園地同盟を作って裏トナメ2回戦進出。 このページのトップに戻る|トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/c-stock/pages/61.html
石田ギリオSS 石田ギリオSS2 ツンデレの話 石田ギリオSS 3 ~俺の嫁~ 石田ギリオSS 4 石田ギリオSS 俺の嫁ダンゲロス『石田ギリオSS』 ヴィクター博士の研究室が吉祥寺にあったのは昔の話で、いまは彼の墓標とともに両国駅近辺の地下深くに埋まっている。 あの愚かな博士の末路に関しては、石田ギリオも言及する気になれない。 あのような研究活動をしていればいつか死ぬだろうと誰もが思っていたし、事実、すぐに死んだ。 だが、どちらかといえばこのチキンレースに関しては石田ギリオのほうが先に脱落すると、吉祥寺界隈のヤクザたちには考えられていた。 その点だけが大方の予想と違っていた。 「絶対大丈夫! 今度こそ絶対大丈夫です!」 「今度こそ絶対大丈夫じゃない気がする」 「今度のはすごいんですよ。全身に99の殺人武器が内蔵されているんです、 これこそ私の嫁にふさわしい火力!」 石田ギリオが推測する限り、ヴィクター博士は嫁の魅力=火力だと考えている節があった。 「マシンガンの弾切れの隙を最小限にとどめる、コンクリート成形機構を採用しました。 コンクリート建造物を捕食して、無限に弾丸を撃ち続けるんですよ可愛いですね~」 「博士、人の話を聞かないとそのうち死ぬぞ」 「大丈夫!大丈夫です! もう引き返せない地点まできています。 あとはこの霊薬を混ぜるだけ。ねるねるねるねは、ウヒヒヒ」 「……ねればねるほど色が変わって」 「こうやってつけて食べると」 「ウマイ!」 「テーレッテレー!」 石田ギリオはこのときほど博士のおろかなノリに同調した己を後悔したことはなかった。 この直後、ヴィクター博士は霊薬の中から誕生した『俺の嫁99号』のマシンガン集中砲火を受け、惨殺。 ほとんど即死であった。 石田ギリオは命からがら逃げ出したものの、こうしてヴィクター博士の99の嫁は東京都23区に解き放たれた。 ギリオの胸に刻まれたのは、自分が惨めに逃げ出すという最大の屈辱! そして石田ギリオの精神は、このようなストレスに耐え切れるほど器の大きなものではなかった! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「はあ、はあ・・・」 石田ギリオは、先ほどの奇襲で始末した、『俺の嫁99号』の残骸を見下ろす。 油と人工筋肉と鉄骨フレームの残骸になるほど分解された、かつてのヴィクター博士の『俺の嫁』がそこにあった。 猫耳メイド姿であった面影はもはやどこにもない。 「馬鹿にしやがって、クソッ!俺を馬鹿にするやつはみんなスクラップ置き場に送ってやる! 全員だ! お前もお前の仲間も一匹残らず、ネジの頭まで破壊してやる!」 これが、残り98体の『俺の嫁』と、チンピラ無職・石田ギリオとの血まみれの戦いの幕開けであった―― 石田ギリオSS2 ツンデレの話 「石田ギリオSS2 ツンデレの話」 ――それはまだ、博士が生きていた頃の話だ。 「ついに完成しました! 石田さん、私はやりましたよ! ハイ登場、試作57号さん、キャラ立てて!」 『ピガッ か、勘違いしないでよね! あんたのために完成したわけじゃないんだから!』 「……あ?」 石田ギリオは研究室の奥から現れた異形を大いに警戒した。 蛍光色をぶちまけたようなピンク色のツインテール! 牙のような八重歯! そして顔の半分以上の面積を占める眼球! そう、それはどこからどう見ても…… 「ツンデレですよ、石田さん!かわいいでしょ~~~~! ウヒヒヒ! 私は興奮しています」 『なっ、なに言ってんのよ! ばか! 私がかわいいなんて…な、なに考えてるわけ!? ピガッ』 興奮する博士。そして傾向ピンク色のツインテールを触手のように振り回す試作57号(ツンデレ)。 石田ギリオは頭が悪いので、腕を組んで考え込むふりをした。 「ヴィクター博士、これ……売れると思ってるの? 音声はうるさいし、デザインがあまりにも特殊で……頭とか海老みたいじゃん」 「なに言ってるんですか。ツインテールですよ。萌えですよ! まぐわいたい…… 私、まぐわいたい……」 「いや別に博士の趣味がどうこうってわけじゃないぜ。 ただ、こんなに全力でキャラ立てしてるやつを見ると、やけに濃厚な死相が見えるんだよね」 が、石田の不安を、ヴィクター博士は血走った目で一蹴した。 「ツンデレは男子の夢なんですよ、石田さんは何もわかってない! 石田さんもちょっと話してみれば意見が変わりますよ。ハイ、試作57号さん!」 『か、勘違いしないでよね! あんたと話したいわけじゃないんだからね!』 石田ギリオは新鮮な驚きを覚えた。 「オオー、すげえ、博士のロボットが、博士の言うことを聞いてる!」 「そうでしょうそうでしょう! 私、天才ですからね」 「博士、天才だったんだ! スゲー! 天才ってスゲー!」 褒められたと認識し、試作57号は顔を赤らめる。 『ふ、ふん! だいたいなんであんた真昼間からこんなところで 油売ってるわけ? 私の話相手してる暇があったら、ハローワークでも行きなさいよ!』 「……おい」 「石田さんが無職チンピラということは、ちゃんとインプットしておきました」 『いつまでも無職なんて、私、ぜったい許さないからね。 あんたはやればできるんだから……それに、私、がんばってるあんたのことが……』 「ぶ」 「ぶっこわす! 博士、剣だ! 決闘の準備をしろ!」 「石田さん落ち着いて! いや、それは無理か! 石田さんは生まれてこの方いちども落ち着いたことないですもんね! 逃げて! 57号さん逃げて!」 『か、勘違いしないでよね! 私はただ逃げるわけじゃないんだからね!』 ガシャッ!と音をたてて、バックステップで距離をとった57号の腕から先が砲塔に変形する! 石田ギリオは乏しい知能でその危険性をかすかに察知した。 「博士、なんだよあれ」 「撤退の安全を確保するための装置……グレネード弾ですよ! 名づけて『勘違いしないでよね』システム」 「博士」 石田ギリオは咄嗟に身を伏せ、手近な遮蔽物に隠れる。 「次からあのグレネード弾だけ量産しろ」 ……こうして吉祥寺のヴィクター研究所は爆発四散した。 だが、これは悲劇のはじまりにすぎなかったのである。 石田ギリオSS 3 ~俺の嫁~ 「石田ギリオSS 3 ~俺の嫁~」 石田ギリオは夜の街路を走りながら考える。 ヴィクター・フランケンシュタイン博士は、唯一の友人と呼べたものかもしれない。 学校を退学になってから、石田ギリオを相手にする者は数えるほどしかいなかった―― 特に、暇なときに愚かな会話を交わすような者は、博士だけであった。 ヴィクター博士は彼自身の愚かさの犠牲になった。 そして石田ギリオは、博士の死にあたり、ただ逃げることしかしなかった。 ヴィクター博士の死を、石田ギリオの精神が「友人の死」として受け入れるには、 その死の原因をすべて克服しなければならなかった。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「俺の嫁?」 「そうだギリオ…… 『俺の嫁』を倒せるのは、同じく『俺の嫁』だけだ。 『俺の嫁』を思う者の認識が、やつらを不滅の存在にしている」 「それでやつらを壊せるようになるのか」 「『俺の嫁』になるのだ、ギリオ。それしかない。 『俺の嫁』としての資質をまったく備えないお前にとっては、 きわめて困難な道のりになるかもしれないが」 「俺を馬鹿にするな。そういうやつはみんな墓場に送ってやる!」 「もともと無理なことを通そうとしているのだからな。 お前が本当に『俺の嫁』になれるのなら、あるいは可能かもしれぬ」 「どうすれば『俺の嫁』になれる?」 「『俺の嫁』を思う者の認識が、やつらを『俺の嫁』たらしめている……。 協力者を集めろ、ギリオ、それでお前も『俺の嫁』になれるかもしれない」 「俺はなんだってやる! ヴィクター博士は、俺の友達だったんだ。 そう言えるようになりたい」 「ならばお前はいまから『俺の嫁』だ。『俺の嫁』を殺す『俺の嫁』だ! だが、覚悟しろ。『俺の嫁』に安息などない……無限の地獄があるのみだ」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 望むところだ、と思っていた。 ギリオは久しぶりに帯びる剣の柄に手をそえた。 もはや騎士でなくても良い。『俺の嫁』となって、ヴィクター博士の99体をすべて殺す。 ここにひとりの恐るべき『俺の嫁』が生まれた―― 石田ギリオSS 4 それはまだヴィクター博士が生きていた頃の話…… 「ハイ! ギリオさん、59号ですよ、ついに完成しました。 今回のコンセプトは『妹』、そして『ロリコン』ですよ。 お前ら喜べ! ――ほら59号、キャラ立てて!」 『ピガッ おにいちゃん大好き! 一緒にお風呂入ろうよ!』 石田ギリオは、ドン引きした。 「なんてこった」 寒空の下、粗末な屋台に怪しげな研究器具が満載されており、 その奥に博士と59号(妹)が並んで飛び跳ねている。 研究所が爆裂四散し、博士はいまや住所不定無職科学者なのだった。 その奇怪な中年男性が、推定年齢9歳前後の少女を連れている。 石田ギリオは切迫した危機感を覚えた。 「博士、そいつは捕まるぜ。ぜったい捕まる」 「今回は外見にもこだわってみました、もはや人間の幼女にしか見えないでしょう。 はあはあ、ペロペロ。これが完璧な『俺の嫁』ですよ!」 『ピガッ…… やだ、お兄ちゃん、くすぐったいよ……』 「構図が気持ち悪い……。でも、今回はリアル路線だし、 基本的に言うことも聞くし、いけそうな気がしてきた!」 「これを大量生産して妹マニアのロリコンどもに販売します。 私、天才でしょう! 天才ですよね?」 『お兄ちゃんは天才だよ!』 「そうでしょうそうでしょう! 59号はいい子ですねー!」 「まあ、たしかに天才だな…。そいつが生み出す利益は九割を俺が接収するとして」 「一割もいただけるんですか、私! やったー!」 『わーい! 一割ー!』 博士と59号が飛び跳ねる。低学歴の愚か者どもめ、と石田ギリオは思った。 「よしよし。今日は特別に」 博士とかかわって以来、初めて手ごたえを感じた石田ギリオは、 ポケットから二枚のチケットを取り出した。 「泡風呂の割引クーポンを博士に分けてやろう。 これから行こうぜ! この時間はさらに安いから!」 「石田さん!」 博士は感激のあまり泣きそうになった。 「私、石田さんと友達でよかった! 泡風呂!」 「お前とは別にトモダチじゃないけどな。はやく金返せ。 泡風呂!」 「ウキャキャキャキャ! 泡風呂ですね!」 「ギャハハハハハ! 泡風呂だ!」 急速にテンションのあがる博士と石田。 だが、二人を見つめる冷たい目があった。 『お兄ちゃん……泡風呂ってなに?』 「お金を払って女性に色々サービスしてもらう施設ですよ。 59号、またひとつ賢くなりましたね~かわいいな~」 『お兄ちゃん、私以外の女と……会いに行くの?』 59号の右腕から先が、けたたましい音をたてて展開する。 これは……電動ノコギリ! 石田ギリオはのけぞって驚愕する。 「な、ななななななにこれ博士、幼女の右腕が殺人兵器になった!」 「ひいっ!しまった、忘れてました。59号にはいま流行の《ヤンデレ》を 搭載していたんでした。夫の浮気は許さない! これぞ理想の『俺の嫁』!」 『お兄ちゃん……他の女と会ったりできないように、 59号が手術してあげるね? 薄汚い売女どもには渡さないんだから……』 「スゲー、こいつ頭いいじゃん! 状況判断が的確! なんで博士はさ、この才能をちゃんと活かせないの?」 『お兄ちゃん殺すべし! ピガッ!』 「逃げましょう石田さん、私こわい!」 「うるせー!俺と一緒の方向に逃げてくるんじゃねえ。殺すぞ、低学歴!」 「私たち友達じゃないですかー!一緒にこの危機を乗り越えましょうよぉ~~~。 ねえ~~~友達ぃ~~~~~」 「うざっ……」 こうして博士の新たな研究所(屋台)は粉々に粉砕され、 高木ビルの地下室を借金して借りるまで逃亡生活は続いた。
https://w.atwiki.jp/dangerousss3/pages/188.html
第一回戦【宇宙ステーション】SSその1 試合場のひとつである宇宙ステーションは、上空500キロメートルの熱圏に存在しており、秒速7.61kmで地球の周囲を等速円運動している。その際に発生する慣性力(遠心力)が地球の重力とつり合うことで宇宙ステーションは上空にとどまっていられる。 また、慣性力と吊り合いながら自由落下しているため、宇宙ステーション内はほぼ無重力となっている。 居住区はモジュールと呼ばれる円柱形のパーツが複数組み合わさっており、直線的な構造になっている。上層部、中層部、下層部の三層を貫く長いモジュールから構成されている。そのそれぞれから垂直に突き出るようモジュールが設置されている。 それだけのシンプルな構造。 だから。 「見ィ~つけた」 試合開始後まもなく、内亜柄影法は弓島由一を容易く見つけたのであった。 宇宙ステーションの中層部、そこから突出したモジュールが弓島由一のスタート地点である。 自分の場所を把握すると、ガンフォール・ガンライズで銃を創りだした。あるものを仕込もうとしたのだが、その直前に影法に見つかってしまった。 「こっちにくるんじゃねェ―――――ッ!」 由一はガンフォール・ガンライズの弾丸を影法に向かって乱射する。 影法は上着を脱ぎ、目の前に構えた。弾丸はすべて脱いだ上着に当たる。 「知ってるぜ。こうしちまえば、お前の能力は無力化できる。そうだろ?」 生身の部分への着弾さえ防げば、ガンフォール・ガンライズの弾丸は無力化される。 だから、上着で覆い隠しさえすればいい。それが影法の考えだ。 「しかしまあ、俺はガキをいたぶる趣味はないんだ。今棄権すれば、痛い目に遭わずに済むぜ?」 『優しい』言葉をかける影法。それと同時に、能力で刃を作り出す。 さして大きくはない、果物ナイフ程度の大きさ。 「殺す気マンマンじゃねーか……誰が棄権なんかするかよ、オッサン」 由一は銃を構え、警戒しながら影法を見る。 影法はその刃を使って、接近戦を得意とする。そうでなくとも、投げるなりしてもいい。遠近どちらでも戦える。また、言葉さえあればいくらでも刃を作り出せる。 一方の由一は、ガンフォール・ガンライズだけを無力化すれば、由一に武器はない。身体能力では、明らかに影法より格下だ。接近戦に持ち込まれれば、不利なのは火を見るよりも明らか。 しかし、今の由一は追い詰められている側。距離を取ろうにも、とることも出来ない。 「はぁ、気が乗らねえな……しかたない、悪いが勝たせてもらうぜ。」 影法は上着を構えたまま床を蹴る。 慣性の法則に則り、由一に向かって等速直線運動を行う。 「生麦生米生卵!」 影法は唐突に「早」口言葉を言い出す。そして、能力で「はやい」刃を作り出す。 「東京特許許可局局長!」刃を作る。 「赤巻紙青巻紙黄巻紙!」刃を作る。 「隣の客はよく柿食う客だ!」刃を作る。 「この釘は引き抜きにくい釘だ!」刃を作る。 「くらいなっ!」 影法は5本同時に刃を投げる。宇宙空間では踏ん張りがきかないため、「物を投げる」という行為は地上で行うときと比べて威力は落ちる。 だから、投擲時の速度は、由一が即座に反応できる程度の速さだった。 「のろいぜ! これくらい、余裕で撃ち抜ける!」 この程度なら、簡単に撃ち抜ける。刃に向け、由一はガンフォール・ガンライズの弾丸を射出する。 その弾丸が、刃に着弾―――しなかった。その刃は、当たる直前に加速した。 「なにっ!」 5本の刃が由一の体に突き刺さる。当然だ。加速して早くならないのに速い刃なんて名乗って言い訳がねえ―――そう影法は考えた。 速いと早いを混同しているような気がするが、わざと混同しているのだろう。 「隙を見せたな」 刺さった刃に気を取られた瞬間、影法は由一の眼前まで迫っていた。 由一はとっさに自分に弾丸を撃ち、下方向へと逃げる。 だが、一手遅かった。逃げる直前に、影法は由一の髪を掴んでいた。 そのまま由一を持ち上げ、バックチョークに持ち込む 「お前の能力は人体を貫通しない。だから、今お前の首を占めている俺をお前の能力で撃ちぬいた所で、お前は俺を飛ばすことは出来ない。逆もまたしかりだ」 宇宙空間、主に無重力空間では踏ん張りがきかない。だから投技や打撃技はあまり有効ではない。主に有効とされているのは、絞め技や関節技などの組み技だ。 そして、それは同時にガンフォール・ガンライズの弱点をついた技でもある。 由一は必死になって振りほどこうとするも、彼程度の腕力では振りほどくことは出来ない。 「苦しくて声も出ないようだな。安心しろ、すぐに楽にさせてやる」 影法は優しい刃を取り出す。それを首元に持っていく。 「なめんじゃ……」 「あ?」 「なめんじゃねええええええええええッ!」 由一は声を張り上げ、銃を持った腕を振り上げた。そして、そのまま影法の耳元で弾丸を射出した。 ただし、時速200kmという速度で、だが。 人は爆音を感知すると、とっさに耳をふさぐ。熱いものに触れた時に指を引っ込めるように、それは一種の反射行動である。 人間が耳に痛みを感じる音圧レベルは、およそ130デシベルから。 一般的な拳銃の銃声が140~170デシベルであることから、200デシベルよは通常の銃声のおよそ百倍の音圧であるということだ。 それらの銃声も通常はイアーマフを着用して減衰させるのがならいだ。それほどまでに銃声は人の耳を傷つける。 まして、200デシベルの音を耳元で発されたとすれば、それは尋常ではない痛みが走るだろう。 「うおおッ……あ、が……」 影法は耳を抑え、その場にうずくまっている。鼓膜が破裂してもおかしくはない音圧だ。それに堪えられたのは魔人だからか。 「ぁぁぁー……」 影法だけでなく、由一もまたその音圧に苛まれていた。 影法が腕を離した瞬間、とっさに影法を蹴って逃げた。それだけしか出来なかった。 「これだけは使いたくなかったのに、クソッタレめ」 この大爆音は、事実上の自爆技だ。相手と自分、両方が被害を受ける。 たとえ耳栓をしていても、気休め程度にしかならない。だから、使用はできるだけ避けたかった。 由一は壁を蹴り、中層部から下層部へと移動する。 「ハァ、ハァ……だが、これで奴から離れられた。待ってやがれ。必ず殺す」 下層部のモジュールの底で、由一は一発の弾丸を射出する。非常に、極限まで遅い速度で。 そのすぐ直後、もう一発。今度は、少しだけ速い速度で。 まだ、耳は痛んでいる。 しばらくして、影法の耳の痛みは回復した。彼もまた、激しく憤っている。 「あの糞ガキ、大人をコケにしやがって……俺が勝ったら、あらぬ疑いをかけて少年院にブチ込んでやる」 中層部のモジュールから顔を出す。その右手には、優しい刃が力強く握られている。 「どこ行きやがった糞ガキ!」 宇宙ステーション内部に影法の声が響く。 その声に呼応するように、由一の声が返ってくる。 「どーやら耳は治ったみてーだなぁ、おっさん!」 「てめーどこにいやがる!」 「まー落ち着けよ。一ついい事教えといてやる」 影法は声の方向を特定する。下層部からだ、と判断し、体を向ける。 由一が言った言葉は、とても信じられないような内容だった。 「この宇宙ステーションは、今から墜落する」 「……はァ?」 「聞こえなかったんならもう一度言ってやるよ。この宇宙ステーションは、今から墜落する」 「ばっかじゃねーのか? 頭おかしくなったのか?」 「俺の能力じゃ、宇宙ステーションの内部を撃っても宇宙ステーションを墜落させることは出来ない。宇宙ステーションの内部は、俺のいる慣性系から見れば静止しているからだ」 「ふん。だったらハッタリだな」 「しかし、だ。外部に着弾させれば話は別だ。外部に着弾させれば、外から撃ったことになり、外部の慣性系からみてこの宇宙ステーションがどう動いているかが基準になる。そして、俺の能力では、動かした物の慣性は消失する。ここまで言えばわかるか?」 「……いや、それもハッタリだ。できるはずがない」 「信じるか信じないかはあんたの自由さ。オレはひたすら逃げ回るだけでいいんだからな。ちなみに、制限時間はもって5分ってとこだ。がんばれよ」 影法は考える。お前本当に小学生か? と言いたくなるような内容はともかく、ハッタリでなかったとしたら、確かに脅威だ。由一の能力なら、墜落する直前に脱出すればいいだけだからだ。 あれこれ考えても、案は浮かばない。 影法は由一のいる下層部へと急ぐ。 「5分? だからどうした! お前の言葉が事実だとしても、5分以内にお前を殺せばいいだけだ!」 下層部分に到着する。前を見れば、天井に座り込んでいる由一がいた(無重力空間で上下の区分は無いに等しいのだが、影法の足をつけている箇所を床として、由一のいる場所を天井とした)。 由一はニヤニヤと笑いを浮かべながら中指を立てる。 「かかってこいよおっさん!」 由一の挑発にものらず、影法は冷静に状況を分析する。 刺さっていた刃が全て抜かれている。しかし、どこかに刃を隠し持っている様子はない。 つまり、由一と影法がいる場所の間に、ガンフォール・ガンライズで埋められた刃が埋められているということだ。 影法は由一を指さしてそのことを指摘する。 「そんなバレバレの罠に引っかかると思ったか? お前の挑発に乗って行っ―――」 言い終わる前に、地面から弾丸の弾幕が素早く浮き上がる。その弾丸は、影法の衣服をすり抜け、体に直接着弾した。 「な……」 「甘かったなおっさん。オレの本当の目的は、一瞬でもあんたの動きを止めることだった。そして、あんた が罠を警戒すれば、必ず足を止めるだろうことは容易く想像できた」 由一は特殊銃の弾丸に弾丸を当て「物体を通り抜ける弾丸」をつくりだした。これを使えば、衣服に弾丸があたって防がれるという問題点を解消できる。 だが、特殊銃の弾丸の性質上相手が動いている場合はその衣服に当たってしまい、衣服をすり抜けさせることは出来ない。 だから、一瞬でも動きを止めさせる必要があった。 「俺が……負ける?」 ゆっくりと沈んでいく影法。由一より体重が重いため、移動速度が遅い。 由一は天井を蹴り、真上から影法を見られるように移動する。 「俺は……こんなところで! 負けるつもりはねえんだよおおおおおおおおおおおっ!」 『熱い』台詞を吐く影法。能力で『熱い』刃を生成する。生成された刃は1メートル程度の長さだ。 影法はそれを床に突き刺した。突き刺すと同時に、影法の体が浮き上がる。 由一は驚愕の表情を浮かべる。 『なぜ俺の能力の解除方法を知っているのか?』それが疑問だった。 事実として、影法はがむしゃらで刃を創りだしたに過ぎない。偶然の産物だ。 影法に勝利への意志がなければ、それもありえなかっただろう。 浮き上がってくる影法をとっさに躱す。 だが、影法は体を捻り、由一のいる方向に刃を向かって突いた。 「あちいっ!」 由一は刃を間一髪で避けた。刺さった壁が融けている。一体何千度なのだろうか?想像もつかない。 影法は即座に刃を横にずらす。それを躱そうと壁を蹴る由一。再び刃先がかすり、体から冷や汗が出る。 「どうした! 逃げるだけじゃあ勝てないぜ!」 「黙ってやがれ!」 由一は宇宙ステーションの上層部へ逃げ、影法はそれを追う。 逃げるときも相手から目を離さない。 だが、ついに由一は行き詰まった。 「もう袋のネズミだ! 死にやが―――あああああッ!?」 影法の体に、刃が降り注ぐ。由一に体に刺さっていた、「速い」刃が、今度は影法に刺さったのだ。 腕に刺さった刃のために、影法は「熱い」刃を手放してしまった 「頂きィ!」 由一はその隙を見逃さない。影法が手放した瞬間に「熱い」刃を奪った。 その刃を壁に刺し、そのままモジュールを横に一周する。 宇宙ステーションが、円形に切断された。その切断面から外を見て、影法は宇宙ステーションが落下中であることを余儀なく思い知らされた。 「ハッタリじゃ、なかったのか……」 「ああ。そして、もう一つ。」 切断された上部の宇宙ステーションをガンフォール・ガンライズで打ち抜き、同時に自分自身もうちぬいた。 「まさかてめえ……!」 「あんたの想像しているとおりさ。じゃあなおっさん。なかなか手ごわかったぜ」 由一は切断した宇宙ステーションの上層部とともに、その場で鉛直方向に上昇。 言わずもがな、宇宙ステーションの残り部分は、重力にしたがってそのまま自由落下。 その際、影法が何かを叫んだような気がしたが、まったく聞こえなかった。 数分後、宇宙ステーションの墜落が確認されるとともに、弓島由一の勝利が告げられた。 このページのトップに戻る|トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/azumangadeyurimoe/pages/11.html
142 早朝、布団の中で (よみ×とも) 147 告白 (神楽) 155 ちよ×神楽×榊 162 exchange (よみ×とも) 169 ベーコン (とも×大阪) 183 ちよちゃんちのお風呂 (ちよ×神楽) 187 よみ×榊 195 アネモネ (榊×神楽) 205 酒の力を (にゃも×ゆかり) 216 酒の力の余波1 (よみ×とも) 221 酒の力の余波2 (榊×神楽) 228 朝靄 (大阪×ちよ) 237 ちよ×大阪 246 仮装競争 (ゆかり×にゃも) 252 ちよ×榊 259 アネモネとベーコン (とも×大阪) 265 にゃも×ちよ 269 かおりん×神楽 284 神楽×とも 293 魔女よみ (よみ×神楽) 307 仮装競争2 (ゆかり×にゃも) 315 No One Knows (大阪×にゃも) 327 ねこのてしょうぶ (榊×神楽) 349 カッターとガムテープと (かおりん×神楽×榊) 363 First Contact (大阪×にゃも) 379 ゆかり×にゃも 394 かおりん 404 Sick Bay (大阪×木村先生の奥さん) 414 アネモネ2 (榊×神楽) 426 五月の恋人たち (大阪×とも) 446 体育館横にて (榊×かおりん) 453 本当の自分 (榊×大阪) 471 じゃあ、また (榊×神楽) 480 Separation (よみ×とも) 496 冷え性の照れ屋 (とも×よみ) 514 スタート (榊×神楽) 526 catch a cold (よみ×とも) 535 榊×ちよ 545 昔々あるところに (ゆかり×神楽) 553 うそしっと (よみ×とも) 556 榊×神楽 567 神楽 576 マキロン (よみ×とも) 585 お風呂 sideA (榊×よみ) 608 背伸び (榊×神楽) 614 榊×神楽 622 お風呂 sideB (大阪×よみ) 633 アブラゼミ (よみ×とも) 644 プリムラ・ポリアンサ (榊×よみ) 648 それぞれのはじめて、大阪篇 (大阪×ちよ) 658 猫バカ (榊) 667 I loved you (よみ×とも) 685 コドモ、カラの、ソツギョウ。 ―榊・神楽篇― 698 新ジャンル「舞台裏」 703 ベーコン2 (大阪×とも) 718 ラッキープール、雨天決行 (ゆかり×にゃも) 729 カーテン閉めて (ゆかり×にゃも)
https://w.atwiki.jp/002834/pages/181.html
五月。新緑の季節。 今日もいつもの散歩道を歩く。 木の間から透ける青空と緩やかな日差しの中、優しい風に包まれ目を閉じ深呼吸。 目を閉じると風の囁き、鳥の声、木々の揺らぎ、土の香・・・ 居心地の良さに、ささくれ立った感情が流され、眠っていた感覚が、感じる心が蘇る。 目を開く。空は何処までも蒼く、その蒼さにふと爽一郎さんのことを想い、願う。願うはあの人の笑顔が消えないこと。あの人の幸せ。 いつまでも。いつまでも。 優しい風が吹く。風に乗って懐かしい匂い。 春の匂い。 目をやれば、道の端にたくさんのシロツメクサの花。 幼い頃、よくシロツメクサでネックレスや冠を作ったことを思い出し、間近で見てみようと草の上にひざと手をつくと、微かに甘い匂いがする。 久しぶりに冠でもと思い、手を伸ばす。 けれど、健気に咲いている花を見るうちに、無理やり手折ってしまうのもかわいそうだと眺めるだけにする。 風に揺れる花を暫く眺めてると、目の端に四つ葉のクローバー。 四つ葉のクローバーを見つけた人には幸運が訪れる。 そんな言葉を思い出す。 暫く考えた後、手折ってごめんね。と心の中で謝りながら摘む。 押し花にしてあの人に贈ろう。そう思いながら・・・ 写真素材 足成 上へ 戻る
https://w.atwiki.jp/utu-idol/pages/22.html
SS スレに投稿されたSSなどを掲載しています 鬱ちゃんの独白集 A-1 鬱ちゃんとマネージャーの掛け合い B-1 鬱ちゃんとその他色々の掛け合い C-1
https://w.atwiki.jp/bokurobo/pages/536.html
サラリーマン機族デイブレイカー・SS 連続SS ミッドナイト・チェイサー~サラリーマン機族デイブレイカー~後編 DBへ SS保管庫へ
https://w.atwiki.jp/chaosrowa/pages/17.html
本編SS目次 NO. タイトル 作者 登場人物 0 オープニング ◆M4IltJmeTk のび太、玉子、安部晋三 NO. タイトル 時間 作者 登場人物 1 第一話 19時 ◆XyG9sdMFLA 玉子、スネーク 2 2 19時 ◆rPraem2VKc マリオ、ブロック 3 3 19時 ◆ZAgKuX9lgw 柳沢敦、魔人ブウ、ルーファウス 4 4 19時 ◆JI0DYaB8oI のび太 5 5 19時 ◆LXPz0j6RCc ルイズ、雷電、フランドール 6 6 19時 ◆zuObofX31A テリー、DIO 7 7 19時 ◆L.knTUtqNo やる実、リヒター、シオン、出口雅之、ジェイソン 8 8 19時 ◆o0JMpFh/TM とんぬら、ジャイアン、カービィ他 9 9 19時 ◆LXPz0j6RCc 平賀才人、ハクオロ 10 10 ? ◆ncKvmqq0Bs 南光太郎 11 11 19時 ◆CUG3z3uZ1o 玄野計、野比玉子 12 12 20時 ◆XyG9sdMFLA ダンテ、先生 13 13 20時 ◆ZAgKuX9lgw 範馬勇次郎、アーカード 14 14 20時 ◆LXPz0j6RCc 王様、ドイツ人少年、野比玉子 15 15 20時 ◆Nq54EhLzOc ルーファウス、ユフィ、オーキド 16 16 19時 ◆sbrp5j6quo 清川望、砲丸仮面 17 17 19時 ◆wKs3a28q6Q ガチャピン、まさお 18 18 19時 ◆wKs3a28q6Q タバサ 19 19 23時 ◆XyG9sdMFLA ルーファウス、キン肉スグル 20 20 19時 名無しさん@お腹いっぱい。 ギャランドゥ、フルート、ボーカル 21 21 20時 ◆Yf9SJkrULI マリオ、ルイージ 22 22 ? 名無しさん@お腹いっぱい。 ディアボロ、野比玉子 23 23 22時 ◆7f8sZ0EiOM 先生、磯野波平、赤頭巾 24 24 22時 ◆zuObofX31A ブッシュ、せがた三四郎 25 最強VS最弱 ? ◆RyY.pvVOSU 雷音竜、総帥、スペランカー、山岸風花 26 26 22時過ぎ ◆LAIo5Urcw6 カール・グスタフ・ケンプ、人造人間19号、せがた 27 27 7時 ◆683eOKJwHI エリート兵、リー・仲直 28 28 21時 ◆LXPz0j6RCc 麻生太郎 30 30 ? 名無しさん@お腹いっぱい。 青ぷよ 31 サザエ、ついうっかり 21時 ◆AgdroJX80s フグ田サザエ、磯野カツオ、鷺沢頼子 32 32 16時 ◆DX6cvzNicQ 人数が多いので割愛させていただく (10名) 33 33 ? ◆zuObofX31A 南光太郎 34 カレーなる食卓 ? 471 葉佩九龍、荒垣真次郎、坂田銀時、皆守甲太郎 35 35 ? ◆2XEqsKa.CM 大十字九朗、大阪、吉良吉影、セラス・ヴィクトリア 36 36 ? 名無しさん@お腹いっぱい。 南光太郎、小泉純一郎 37 サザエ、またついうっかり 22時 ◆hXvyVozAPo フグ田サザエ、磯野カツオ、その他6名 38 38 16時 ◆xpy0jICqVY 我輩(仮名)、ミーちゃん、ディルレヴァンガー、小生 39 39 19時 ◆o0JMpFh/TM ドラえもん、天津飯、ナルト、木下陰人 41 41 ? 名無しさん@お腹いっぱい。 八岐猛、大斗剛 42 主催変更の気がしたがそんなことなかったぜ! ? ◆XhdD5ank42 キバヤシ、ナワヤ、タナカ、イケダ、トマル、ノストラダムス 44 ヒキニゲロマンチスト 20時 ◆CUG3z3uZ1o 岸田洋一、ボー・ブランシェ、ノイズ 47 47 21時 名無しさん@お腹いっぱい。 ボラホーン、バラン、来栖川姫子 49 49 ? ◆ecLNDRejIw スコール、バルバトス・ゲーティア、分裂アリーナ×4 52 52 20時 名無しさん@お腹いっぱい。 ソリッド・スネーク、源静香 53 53 ? 名無しさん@お腹いっぱい。 名無しさん、ディアボロ、野比玉子、ネクロマンサー 54 54 ? 名無しさん@お腹いっぱい。 ディアボロ、野比玉子 69 69 23時 名無しさん@お腹いっぱい。 シン・アスカ、衝撃のアルベルト、岩本虎眼、ルルーシュ、ホロ 二日目へ メニューに戻る